緊急地震速報の精度改善
こんにちは、商品開発部の池端です。
この度、気象庁により緊急地震速報の精度が改善され、昨日12月14日より運用が開始されました。
テレビや新聞、ネットなどのニュースでも取り上げられていましたね。
気象庁からの報道発表はコチラ。
今回は2つの技術改善が行われています。
1.同時に複数の地震が発生した場合の精度の改善
いままで同時に複数の地震が発生した場合、それぞれの地震の識別や地震の規模の推定が正確に行えず、震度を過大に予測して緊急地震速報が発表される事例がありました。
東日本大震災の直後には地震が頻発したので、こういうことがよくあったかと思います。
こちらの事象については気象庁でもいままで何度かの改善を行い、その都度精度は向上していましたが、今回は「IPF法」とよばれる新たな手法を取り入れることでさらに精度が向上しました。
IPF法とはIntegrated Paticle Filter法の略称で、内閣府の最先端・次世代研究開発支援プログラムに採択された「東南海・南海地震に対応した正確な地震情報を提供する実用的早期警報システムの構築」の成果のひとつです。
詳細は気象庁の報道発表資料に詳しいですが、この手法を取り入れることで、複数地震発生時の震源の決定や同一地震判定の信頼性が向上します。
2.平成 28 年8月1日に発生した緊急地震速報の誤情報の発表への技術的対処
本年8月1日に発生した、最大震度7の緊急地震速報の誤報に対する対応が行われました。
この誤報ではゆれくるコールからも通知が行われ、ご利用のみなさまには大変ご迷惑をおかけしました。
誤報の原因は、地震観測点の電源部故障により、地震計の出力データに急激な変化が生じたことでした。今回の対応では、地震学的にありえない大きさのデータを除外する、地震学的に考えられるマグニチュードの上限値を設け、過大な予測をしないといった対応が行われています。
今回の気象庁の対応で緊急地震速報の精度は改善されますが、すべての地震をカバーするような精度改善ではありません。
緊急地震速報には技術的限界もあり、必ずしも大きな揺れの前に通知されなかったり、予測には誤差が伴う場合があります。
緊急地震速報の特性をよくよくご留意の上、防災・減災にお役立て頂ければと思います。
それではまた!