2015/05/30の小笠原諸島西方沖の地震について
こんにちは、商品企画部の池端です。
昨日5/30 20:24頃、小笠原諸島西方沖を震源とする最大震度5強の地震が発生しました。
震源の深さが590kmと非常に深く、震源から近い場所だけでなく、震源から遠く離れた関東地方でも地震発生から少し間をおいて大きく揺れました。
また、気象庁が観測を始めた1885年以降で初めて47都道府県で震度1以上を観測した地震でもありました。
このような地震は「異常震域」と呼ばれています。
2014/05/05にも伊豆大島近海で同様の地震が発生しています。
上記の記事中にも記載していますが、緊急地震速報は震源が深い場合、技術的に高い精度で震度を予測することができません。
そのため今回も、テレビ、ラジオ、携帯電話、スマートフォン等での一般向け緊急地震速報は発表されませんでした。
気象庁からもそのような報道発表が行われています。
さて、ゆれくるコールの場合ですが、今回は上記の理由により、大きな揺れに対する通知は行われていません。
ただ、まったく通知されていなかったかというとそうではありませんでした。
設定によっては、通知されたケースもあったかおもいます。
今回の地震では、高度利用者向けの緊急地震速報の発表内容は下記のとおりでした。
ちょっとみにくくてスミマセン。。
No |震央緯度|震央経度|マグニチュード|深さ(km)|最大予測震度
-------------------------------------------------------------
1|北緯27.5度|東経141.2度|6.8|10km|震度3
2|北緯27.5度|東経141.2度|7.2|10km|震度4
3|北緯27.5度|東経141.2度|7.2|10km|震度4
4|北緯27.5度|東経141.2度|6.3|10km|震度3
5|北緯28.8度|東経140.0度|8.0|10km|震度3
6|北緯28.0度|東経140.0度|8.2|560km|不明
7|北緯28.0度|東経140.0度|8.0|560km|不明
8|北緯28.0度|東経140.1度|8.0|560km|不明
9|北緯28.0度|東経140.1度|8.0|560km|不明
10|北緯28.0度|東経140.1度|8.0|560km|不明
11|北緯28.0度|東経140.1度|8.6|560km|不明
12|北緯28.0度|東経140.1度|8.9|560km|不明
13|北緯28.0度|東経140.1度|9.1|560km|不明
14|北緯28.0度|東経140.1度|9.1|560km|不明
15|北緯28.0度|東経140.1度|9.1|560km|不明
Final|北緯28.0度|東経140.1度|9.1|560km|不明
高度利用者向け緊急地震速報は、一回の地震で精度を上げながら複数回発表されます。
ゆれくるコールは高度利用者向けの緊急地震速報を利用して通知を出しています。
今回の高度利用者向け緊急地震速報の発表内容は、上記のとおり第5報までは震源深さが10kmと深いものではなかったため、ゆれくるコールでは震度の計算を行い、その結果の応じた通知を出していました。
ただし、緊急地震速報では観測地点が少ない場合は、震源深さをとりあえず10kmに仮定します。上記の10kmというのもこれに該当するもので、本来はもっと深い場所での地震のため震度の推定結果には大きな誤差を伴いました。実際には大きく揺れた本州の推定震度はかなり低めとなりました。
今回の場合、ゆれくるコールの通知震度設定を低め(震度1未満とか)に設定していた場合は、上記の理由により通知を受信していたかと思います。
ただし推定震度には大きな誤差があり、かなり低めに通知されました。
第6報以降は観測データの精度も上がり、震源深さも深くなりました。
ですが震源が150kmを超える場合、緊急地震速報では正しく震度の予測ができません。
そのためゆれくるコールでも通知を行いませんでした。
その結果、大きな揺れに対する通知は行われませんでした。
上記のように、緊急地震速報はすべての地震において必ず発表されるものではなく、発表されないケースもあります。
緊急地震速報の特性や限界(詳細は下記リンク先を参照ください)をご理解のうえ、緊急地震速報やゆれくるコールをご利用いただければと思います。